徳永まさひろ 論考・論策

戦後75年の歴史に何を学ぶか

太平洋戦争の終結から75年目を迎えました。コロナ禍で、毎年日本武道館で行われる戦没者追悼式を始め、全国各地の追悼イベントが縮小された形で挙行されました。
三蜜を避けて、ソーシャルディスタンスの新しい生活スタイルが要求される中、今回の新型コロナウイルスの感染拡大が、戦争の歴史よりまして、世界を恐怖に陥れるほどの脅威であるとも言われています。
翻って考えてみれば、戦争の歴史も、感染症の歴史も、人類誕生以来の人間の欲望との戦いともいえるのではないでしょうか。人間の動機付け理論で有名なマズローの欲求5段階説の超越的な自己実現の欲求、つまりある程度発展してきた成熟社会において、超越的な富と権力を望む人間の運命的な性が、どこまでも不安定な社会を継続させていることを気づく時と思われます。
したがって日本が戦後75年間、石油危機やバブル崩壊など幾度となく経済危機を乗り越えて平和を維持できたことは、局地紛争が絶えない世界の現状からみれば、世界から大きく称賛されている事実です。
ではなぜ日本がここまで平和を維持できたのか。それはまさしく、広島・長崎で2度の原子爆弾を投下された経験を持つ唯一の被爆国としての痛ましい経験もさることながら、約310万人の犠牲者を出した深い反省があったからだと思われます。そしてもう一つ大事なことは、日本人の凛とした理性が働いていたからではないでしょうか。
36年前に23歳から政治の世界に飛び込んだ私の経験から考えると、私の20代・30代に出会った政治家も経済人も、戦争の悲惨さと、貧乏と、間違った権力の怖さを知っていました。今では憲法改正に日本の自立があるように錯覚を起こしている自民党の中でも、佐藤栄作首相の後釜を狙った三角大福の時代の大正生まれの政治家の皆さんは、戦争の悲惨さを経験した教訓から、日本が戦争に巻き込まれないように、利権政治はさておいて、平和を維持することに大きな倫理観をお持ちであったように思われます。
その意味では、75年目を迎えた今日、大きな気がかりなニュースは、総務省の人口推計によると、2019年10月1日現在、戦後生まれの人口は1億655万人で、全体の84.5%を占め、戦前生まれが1,962万人で、人口推計が始まった1947年の7,384万人から70年余りで4分の1に減少したという記事でした。戦争体験をした世代が段々居なくなるにつれ、無秩序化されつつある今日の世界で、争いの歴史がまた繰り返されるのではないかと心配でなりません。
終戦の日にいつも叫ばれるのは、戦争を語り継ぐ大切さです。しかしもっと必要なことは、段々語り部がいなくなる中で、戦争の歴史を語り継ぐだけではなく、人間の悪なき欲望の追求の歴史から、時代を超えた人間の負の性をしっかり見極め、人間の愚かな歴史から平和な社会を構築するために、歴史から何を学ぶかを伝えて行くことではないでしょうか。
今こそ人間の理性と知性を十分に発揮するときだと思っています。
政治も再度、国民の生活を守るという政治の原点に立って、小異を捨ててスクラムを組む時です。
二度と戦争の繰り返しをさせないためにも、世界の新たな潮流を作るためにも、今が踏ん張りところだと思っています。

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