徳永まさひろ 論考・論策

日本子守唄協会10周年記念誌寄稿文

理事 江東区議会議員 徳永雅博

大事にしたい心の旋律

子守唄協会に出会い、数多くの子守唄を聞くにつけ、忘れかけていた少年時代の思い出がよみがえる。いまの現状を憂い、未来に向けてメッセージを送る若者の歌や、人生の様々な人間ドラマを演歌にして歌う大人の哀愁歌や、歌の魅力はそれぞれに美しさがあるが、子守唄は、人間の心を安穏とさせる力がある。その魅力が、決して平凡ではなかった私の少年時代を思い起こさせる。
それはたぶん私にとって、母との愛情の葛藤ではなかったかと考える。母の子育ての苦労を少年時代にわかるはずもなく、なぜそんなに仕事をするのか、どうして学校に来てくれないのか、母の愛情を求めれば求めるほど、心の亀裂が深まり、心の葛藤がつづく。
そんな昔の懐かしい心の北風が、子守唄は、なぜか平安の風に切り替える力を持つ。そして閉ざされた親子の心の扉を切り開く。
 政治の仕事に携わって25年が過ぎた。文化と政治の相反する風を感じて四半世紀。そろそろ本当の意味での心の時代が来てもいいのではないか。日本が島国で一国家を形成しているが故に、日本人の優れた能力に、人を大切にする能力がある。ところが、アメリカ発の市場原理主義のグローバリズムは、その能力を消し取り、日本人の心の旋律を乱しているようにも思う。
家族が、地域が、社会の絆が壊れかけている今だからこそ、日本人の心の旋律をもう一度振り返り、大事にする時ではないか。その意味で、子守唄協会の存在意義はとても大きいものがあり、今後の活動が期待されている。
10周年誠におめでとうございます。

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