COP26の課題
英国北部グラスゴーで開催されていた、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が13日閉幕した。成果文書「グラスゴー合意」が採択され、世界の気温上昇幅(産業革命前比)を1.5度以下に抑える努力を追求すると明記したほか、石炭火力発電の段階的な削減に向けて努力すると初めて盛り込まれたことは評価されているが、段階的な廃止から後退しことは、国際交渉の難しさが滲み出ている。問題は現実の数字である。1.5度以下に抑えるためには、2030年の世界全体の温室効果ガスを10年比で45%削減する必要があるが、10月25日時点の各国の削減目標をすべて達成しても13.7%増えると予測されている。したがって合意では「1.5度以下に抑える努力を追求することを決意する」と明記されているが、さらに2022年末までに必要に応じて各国の30年の排出削減目標を強化、再検討することを要請している。ここで必要なことは、日本のエネルギーミックスの議論も大変重要だが、各国の経済状況や成長過程の相違から来るエネルギー需給のバランスを、国際的にフェアーの形で提案できるかである。それには原子力・石油・石炭・天然ガス・自然エネルギー等の世界を地域的に俯瞰したエネルギーミックスの考え方を構築する必要があると思われる。そこで日本として考えられる重要な課題は、脱炭素化を実現できる技術力をいかに世界に発信できるかである。科学技術立国の名に恥じない、基礎研究から実用化の過程の人と予算をしっかりつけるべきである。世界の技術革新は、戦争の歴史と共に発展してきた歴史があるが、今こそ地球環境問題の解決こそが、人類存亡の危機から救えるという認識のもとに平和的な技術革新を行う時である。気候変動による地球存亡の危機は、まじかに迫っていることを地球規模で人類は認識すべきである。