日米開戦から80年を読む
12月8日、日米開戦から80年が過ぎた。日本軍が米ハワイ・真珠湾の米太平洋艦隊基地を攻撃し、同日に英国領のマレー半島に侵攻して太平洋戦争が始まっている。第二次世界大戦は1939年から1945年までの6年余りとなっているが、しかし日本の場合、1931年の満州事変から日中戦争、太平洋戦争と15年間続いた対外戦争を「15年戦争」と称したように、長く続いた戦争の悲惨さを十分認識する必要がある。15年戦争の終結は、戦後の対日処理方針を表明したポツダム宣言(軍国主義の除去・領土の限定・武装解除・戦争犯罪人の処罰・日本の民主化・連合国による占領などを規定)を8月14日に受諾したことによって終了し、8月15日に敗戦を迎えた。そして1951年9月8日にサンフランシスコ講和条約を調印したことによって、1952年4月28日、日本の主権回復が叶ったことは、日本人として決して忘れることがあってはならないと思う。同時に日米安全保障条約が締結され、主権回復と言えども、日本を対米従属下に置かれていたことも忘れてはならない。つまり日米開戦から80年の歴史は、戦争による敵対心、敗戦による屈辱感と劣等感、高度成長による米国との経済戦争の確執、極東アジアにおける米国の占領下体制の継続による不安など、日本人の心が落ち着いた時期があったのかと思われるぐらい、日米の緊張した関係が続いてきた歴史と言えるのではないだろうか。その緊張が不安になり、ストレスが溜まり、日本の対外外交の手腕が今一つ発揮できなかった歴史でもあるように思われる。そして今最も心配されるのが、米中の国際的な緊張関係である。米国もかつての日本のように中国に経済的には大きく依存しているにも拘わらず、政治的には台湾問題を始め帝国主義的発想が蔓延し力の均衡が保たれなくなっている。日本とって非常に危険な政治的な国際環境が続いている。そこで今年に東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催され、来年が冬季のオリンピックが北京で開かれるこの流れが、どうも間違った方向で世界が動くのではないかという心配が頭から離れない。日米開戦から80年のこの機会に、私達が振り返るべきことは、戦争ほど悲惨なものはないということを今一度思い起こすことである。そして国民主権・平和主義・基本的人権の尊重の憲法の精神を遵守し、健全な民主主義をしっかりと守り切ることである。