国葬儀に伴う弔問外交について
安倍元首相の国葬に伴う岸田首相の弔問外交は、26日から28日の3日間で30国以上の首脳らと会談すると報道された。
26日の米国ハリス副大統領を始め、グエン・スアン・フックベトナム国家主席、27日のインドのモディ首相始め豪州のアルバニージ首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、28日のカンボジアのフン・セン首相や韓国首相などが主な外国要人である。弔問外交について外務省幹部は、「なかなか会えない首脳らと会談する貴重な機会になっている。
安倍元首相が培った外交的遺産を受け継ぎ、発展させるという意思を明確に示すことができた」と語ったと新聞報道は伝えていた。しかし本当にそうなのだろうか。キーワードとしては、「民主的価値と市場経済を共有する重要な協力パートナー」とか「自由で開かれたインド太平洋の実現」などの決まり文句が飛び交ってるが、今最も重要な課題は、ロシアのウクライナ侵攻で崩れた国際社会の平和的秩序をいかに維持するかである。
国連をいかに機能的な信頼ある機関に再構築するかである。しかしそのことはどこのニュースにもなっていなかった。またもう一つの問題は、G7の首脳国のトップが誰も来日しなかったことである。
本気で弔問外交をする気なら、綿密に外交日程を調整して、新しい国際秩序の構築にどのように心血を注ぐべきか、G7のメンバーと会えるせっかくのチャンスを棒に振って、単なる儀礼的なあいさつ程度にとどめるならば、高額の税金を使って開催する儀式ではなかったのではないかと思う。
国葬儀にする意味は、もちろん安倍元首相に対する崇敬の念があるが同時に国葬儀による、国際社会との国家間の重要な情報交換の場でもあることを認識することが重要である。
今回の戦略なき弔問外交は、いったい何のために行ったのかはなはな疑問である。国際情勢は、戦後一番緊迫した状況と言っても過言ではないほど緊張感をもって外交を行う時に来ている。日本があらゆる政治選択を誤らないためにも国民が今こそ政治に関心を持つべきと思う。