第26回参議院選挙後の政治について
7月10日の第26回参議院選挙は、自民党が63議席を獲得し、単独で改選定数124の過半数を占める圧勝で幕を閉じた。選挙翌日の自民党本部の記者会見では、早期に憲法改正の国会発議を目指す意向を表明し、国際社会は、ロシアのウクライナ侵略などで「戦後最大級の危機的な状況にある」と認識を示した。同時に物価高対策や防衛力強化などに全力で取り組む考えも強調していた。特に防衛力強化の課題は、国家安全保障戦略など3文書を改訂する年末にかけての議論が注目されている。
問題は、日本が目指すべき政治の方向が、戦前の軍事力をもって、国家間の安全保障を担保する力の外交をまた維持するつもりなのか、または外交力を強化して、対話を維持し、自由と民主主義、人権と法治国家を順守する平和の外交を維持することに努力をするのか、本気で国際社会から問われる時が来ていることである。国際秩序が乱れつつある国際政治を平和的に解決していくためには、優れた胆力と創造力が必要になる。
参議院選挙の結果、与党と憲法改正に前向きな野党(日本維新の会、国民民主党)などを含む勢力が、改憲の国会発議に必要な定数の3分の2(166)以上を維持した岸田政権下では、次の参議院選挙が行われる2025年夏まで確保できる「黄金の3年間」を手中にした今、全ての国家戦略において前向きに議論をして、結論を出していく時である。
日本の新しい羅針盤を築けるチャンスを与えられた政権与党は、いよいよ日本の政治経済を正しくリードするための施策を決断する時である。具体的には、看板政策の「新しい資本主義」の具現化、コロナ禍で混乱している経済の再生とコミュニティの再生、そして何よりも東アジアを中心とした安全保障戦略をどう解決していくか、参議院選挙後の課題は山積している。今こそ時間を無駄にしないで、国民目線で政治を展開することを切に願っている。