2016.01.01
論考・論作

18歳選挙権と日本の政治について



2016年申年が始まりました。十干・十二支の組み合わせで言うと、今年は「丙申(ひのえさる)」という干支が正確な言い方だそうです。2016年は、戦後1956年に次ぐ二番目の「丙申」になり、その年の特徴は、「変革」の年であり、様々な場面でうねりが生じ、揉め事や争い事が起こると言われています。

さて2016年を考える前に、1956年の「丙申」時代を振り返ってみると、丁度今年と同じく参議院選挙が7月8日に行われていました。前年の1955年には、保守合同による自由民主党の発足と社会党の再統一が行われ、1955年の総選挙に引き続き、改憲派が改革に必要な2/3の議席を占めるのか、護憲派がそれを阻止できるかが争点となっていました。時の首相が鳩山一郎氏で幹事長が岸信介氏です。その時の選挙は改憲派が負けています。

歴史は繰り返されると言いますが、今年の参議院選挙の争点は、まさしく改憲であります。岸信介氏の孫にあたる安倍首相は明確にそのことを答えています。自公政権与党で2/3を取れるか、そして改憲の方向性を示すことができるか、昨年9月の安保法制の成立で集団的自衛権の行使が憲法解釈上できることを確認できたと言いながらも、やはり多くの憲法学者から違憲を言われている以上、どうしても改憲したいと望んでいるのでしょう。

しかしどうしても怖いのが、そのことで争い事が増えることです。戦争の失敗の残酷な轍を踏むことです。戦後の日本は平和憲法によって、経済大国にもかかわらず、外国との争いを回避することができました。したがって子供も高齢者も安心して暮らすことができました。しかしいま世界は、テロや帝国主義の再来で、危険な状況になりつつあります。人類は、再び大人のエゴで、子供や青年や女性を危険な目に合わせるような国際環境を作ってはならないのです。

今年の参議院選挙から18歳選挙権がスタートします。新たに約240万人の若者が有権者として誕生します。これまで禁じられてきた高校生の政治活動が、学校外では原則認められたり、選挙について考える学習が企画されたりするなど、新たな動きが始まっています。

政官業の癒着構造の中で利権政治が展開されて来た戦後の政治から、新たな有権者が素直に政治の正義を探求する存在になった時に、日本政治は大きな転換点を迎えると思われます。そして日本が平和な自立国家への道を模索する時が来ると思います。今年は18歳有権者の動き大いに期待したいと思っています。