大臣発言から見える日本政治の危機
安倍内閣の閣僚発言が物議を醸しだしている。菅原一秀経産大臣の辞任は当然であるが、もっと怖いことは、閣僚の政治姿勢があまりにも陳腐で、明確な信念を持たず、ただ与党政治家という権力にしがみついて、ゲーム感覚でしか政治を行っていないという現実である。萩生田文部科学大臣の「身の丈に合った」発言は、完全に憲法や教育基本法の、何人も公平に教育を受ける権利を有することと忘れている。というか完全に権力欲にしがみついた上から目線の言動である。若くして市議会議員を経験して、将来必ず安倍晋三代議士は総理になるとういう確信から、ずっと今の権力の座を狙っていた政治行動の中から培われた政治姿勢としか思えない。また、河野防衛大臣の「雨男」発言は、国民の生活感覚とか、庶民が日々の生活でどれだけ努力しているかとか、普通の暮らしを維持することがどれだけ大変かを、心底わかってないことが露呈された言葉である。台風15号、19号そしてその後の豪雨で、ついこの間まで、普通に暮らしていた状況を、多くの人が奪われている現実が本当にわかっていれば、「雨男」発言は絶対に出てこない言葉である。特に記録的な豪雨をもたらした台風19号によって、7県68河川で堤防125ヵ所が決壊している。甚大な被害をもたらす自然災害をジョークで片付けることは許されることではない。そこには、萩生田大臣の政治過程とまた違った、政治家一族の弱点が見られる。今の日本政治の危機は、まさしく庶民感覚を失った、上から目線の権力欲にしがみついた政治姿勢が、当たり前のごとくまかり通っていることである。森友・加計問題の公文書偽造が、まさしくそのことを証明している。本当に怖い世の中になりつつある。今、政治の課題は山積している。特に認知症を含む高齢者の介護の問題、どうすれば地域の三世代が生きがいを持てるような地域福祉を構築できるか。また、いじめや虐待・不登校など、就学前や教育現場での不都合な現実をどう解決していくか。さらに働く人の環境をどうやって守っていくか。私が秘書の時代から35年間、ずっと議論してきたにもかかわらず、まだ解決の糸口が見つかっていない。その原因の一つに、政治家として確たる品格を持った政治家が育っていないことが考えられる。私自身も偉そうなことは言えないが、まずは国政・地方政治に限らず、庶民感覚を持った本物の政治家が必要である。