コロナ禍における経済成長について
内閣府が18日に1~3月期の実質GDPの数値を発表した。前期比1.3%、年率換算で5.1%減である。20年度の実質GDPも前年度比4.6%減と、2年連続で減少を続け、マイナス幅も戦後最大となっている。原因として挙げられているのが内需の不振で、年初から3月下旬にかけての2度目の緊急事態宣言で個人消費は3四半期ぶりに減少している。主な内容としては、外食産業や外出自粛による旅行業関連事業が大きな打撃を受けている。一方海外の経済成長率を見てみると、米国では1~3月期の実質GDPが前期比年率で6.4%増加しており、GDPの規模もコロナ危機前をほぼ回復している。中国は前期比0.6%増で、年率換算では2.4%増となっている。プラスとなるのは4四半期連続で、新型コロナのまん延を食い止めながら、企業活動に堅調な動きが見られる。英国は5.9%減と、20年12月から行動規制を強化し個人消費が落ち込んだ原因が主なものである。ユーロ圏はやはり各国が都市封鎖をした影響でマイナス成長になっているが、それでも日本ほどの落ち込みは見られない。日本と米中の成長率の違いは、断然ワクチン接種のあり方やコロナ対策を先手必勝で取り組んできた成果と言える。しかし日本の場合、経済と感染対策の両立を掲げたばかりに両方の対策が中途半端な形になり、GoTo事業に計上された1兆円が、感染が収まらず宙に浮いた状況になったりするなどちぐはぐな施策が見られた。経済成長は、生活環境が安全で安心できない限り上向くことはあり得ない。ましてや世界的なパンデミックな状況下では、新たな投資も難しくなってくる。従って危機管理の鉄則として、一番の課題を最優先に処置して解決し、その後に経済成長のための様々な施策を講じるべきである。ボタンの掛け違い程後々に響く困難は大きくなることを自覚すべきであると思う。「二兎を追う者は一兎をも得ず」で、今一番怖いのは、東京2020オリパラを本気で開催するつもりなのか、どこまで安心・安全な体制を組むことができるのか、正念場の時である。ここを決して見誤ってはいけない。経済成長のにんじんに騙されてはいけない時が今である。現政権の真価が問われる時と思われる。