2017.05.07
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日本国憲法施行70年に思う。


ゴールデンウイークも最終日を迎え、改めて5月3日の憲法記念日と5月5日のこどもの日を振り返った。何よりも驚いたのは、5月3日に安倍総理が、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明したことだ。具体的な内容のポイントは、①9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文化すること、②高等教育も全ての国民に開かれたものとしなけらばならないこと、③改憲発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならないことなどがあげられる。しかしこのポイントは、すべて今日までの議論と矛盾している。①の自衛隊の明文化の話は、自民党草案では、2項を削除して自衛隊を明文化しており、2項を残して明文化するということは、全く矛盾する内容になる。わざと国民の目を誤魔化してなし崩し的に議論を進めようとする意図が見え見えである。また連立与党の公明党の批判を避けるための戦術ともいえる。また②の高等教育も全ての国民に開かれたものにするという案は、民主党政権時代に高校の授業料の無償化を反対した過去の考え方と全く矛盾しており、あえて憲法改正論議を正当化させるための、国民に対して耳障りのいいことだけを言ってるに過ぎない。③についても今日までの憲法調査会の議論や、各政党が議論してきた内容を全く配慮していない上から目線の傲慢ないい方である。最も大事なことは、憲法を改正してどんな社会にしていくのか、日本の未来像をどのように考えているのか、北朝鮮情勢など北東アジアの緊迫した状況だけを掲げ、戦前のような軍事的な力の外交に持っていきたいのか、目的を明確にもって議論すべき内容が、すべて今日議論されている組織的犯罪処罰法の改正論議と同じく、曖昧なままに日本の将来をミスリードされていく危険性が見え隠れしている。今最も大切なことは、平和国家である日本の立場が、国際社会においてどのような存在であるべきか、戦争のない社会とはどのようにすれば実現できるのか、立ち止まってしっかり考えるべき時である。5月5日こどもの日に、地元の香取神社で「勝矢祭」という武者行列のお祭りが行われた。由来は平将門の乱の平定に成功させた藤原秀郷が、神社に勝利の矢を奉納したことによるといわれているが、そのことによって神社はスポーツの神様といわれている。スポーツに勝利するために、選手の面々がお参りをして自らを鼓舞していくことは尊いことであるが、戦国時代の武将のように、戦うことに間違った正義を掲げては人間の社会は混乱するばかりである。そこで犠牲になるのがいつも女性・子供である。「過ちて改むるに憚ることなかれ」と論語にあるように、過ちは二度と繰り返してはならない。そして「義を見てなさざるは勇なきなり」といわれるように、今こそ本当の正義を掲げ動く時と思われる。それにしても連立を組んでいる公明党が、結党の意義を忘れ、間違った権力の方向に何も言えない姿は誠に残念である。