2017.06.19
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「共謀罪」法案の強行採決に思う


 今日通常国会が閉幕した。150日間の会期の中で一番感じたのは、国会審議の空洞化である。国民を代表する国会議員の議論が、徹底した議論もなく、ただ時間を浪費させている委員会の様子は、民主主義の根幹を揺るがす暴挙とも言える。 特にそのことは、「共謀罪」審議の中で見られた。法務大臣の的を得ない答弁に、国民の内心の自由を侵害するかもしれないという、極めて重要な法案の審議とは到底考えられない時間だけが浪費され、一般国民が処罰の対象になるのかどうかの論点は、結局整理されないまま終了したことに見られる。 またその採決のやり方が前代未聞である。委員会での審議を打ち切り、委員長の中間報告と言う本会議での強行採決で法案を成立させた経緯は、現在の政府与党の権力の乱用以外考えられない暴挙である。 そこに平和と人権を守ることを党是とする公明党が、いとも簡単に賛成したことは驚愕極まりないことである。 私が創価大学を卒業して、政治の世界に足を踏み込んでから、いつかはこうなるのではと心配してきたことが、とうとう本格的に始まった。 悪しき国家権力の乱用を、当時の自民党政権から政権交代して、国民の視点から政治的弱者を守ろうとしていた野党時代の決意や、細川連立与党時代から新進党を結成したころの改革の精神は、今の公明党には全くなくなってしまったのか。完全に権力の魔性に取りつかれた感がしてならない。公明党はもう一度結党の精神に、原点に戻るべきである。そうしないと庶民はますます生活しづらい世界が、そんなに遠くなく近づいてきていると思われる。 加計学園の問題も森友学園の問題も、結局は国家権力を乱用した後始末を全て水面下に伏せて、政治が絶対やってはいけない情報の隠ぺい工作を図って、過去によくあった利権政治を復活させた与党の思惑としか考えられない。なぜ文科省の前川前事務次官を証人喚問できないのか。都合の悪いことはすべて隠ぺいしてしまう。 「共謀罪」の強行採決は、単に一法案の成立の問題だけでなく、今の政権与党の間違った国家権力の運営が、取り返しのつかない政治不安を起こしかねない重大な出来事であることを国民は認識しなくてはならないと思う。 私の不安が当らないことを祈るばかりである。