2019.08.16
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戦後74年目の終戦記念日を迎えて


戦後74年目の終戦記念日を迎えました。令和の時代になって初めての政府主催の全国戦没者追悼式には、5月に即位された新天皇、皇后両陛下が参列され、式典でお言葉を述べられていました。そこでの注目は、上皇さまが平成の30年間をかけて積み上げてきた内容をほぼ踏襲されたものの、最終段階で、上皇さまが最後の追悼式で盛り込んだ「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」との一節を引き継ぐ一方、戦後70年の2015年から言及してきた「深い反省とともに」を「深い反省の上に立って」と表現を変えられたところでした。戦争を直接経験された世代と、戦争を経験していない世代との感覚の差を表現したものと思われました。実はそのことはとても大事なことです。私も含めて昭和30年代の世代はまだ戦争を直接経験された世代との接点があり、少なくとも戦争の悲惨さを直接感じられる世代の言葉を重く受け止められますが、戦争を経験していない私たちの世代が、後世を引き継ぐ子ども達に本当に戦争の悲惨さ・残酷さを伝えることができているのか、そのことがとても心配になってきました。今年も、私の地元の旧中川では、東京大空襲でお亡くなりになられた、約3千人の方々の鎮魂の儀式として、21回目の灯篭流しが行われましたが、灯篭の荘厳の光に、戦争の恐ろしさを、子ども達がどれほど感じてもらえたのか、いささか心配な気持ちになったのは私だけではないと思います。今回の終戦記念日は、戦争の悲惨さを、どのようにリアリティをもって伝えることができるのか色々と考えさせられました。政治の究極の目的は、平和な社会をいかに築くかです。そのために国家間の信頼に成り立った、切れ目のない外交努力が必要になります。しかし、昨今の国際政治の展開を見てみますと、戦争へのキナ臭き臭いがどんどん増えてきているようにも思われます。無資源国で、小さな島国の日本が、これからも平和な世界を構築して行くには、驕ることなく、嘘偽りなく、国民生活の安定を最優先で考える政治が今こそ必要であると思われます。政治における独善的な考え方は、ごまかしであり、決して国家間、民族間の信頼関係など醸成できるものではないことをもっと真摯に考える時と考えます。