平成28年9月23日 第3回江東区議会定例会
区議会民進党・無所属クラブの徳永雅博でございます。会派を代表いたしまして、大綱4点について質問させていただきます。執行部の明快かつ前向きな答弁を期待します。
大綱1点目、長期計画(後期)の展開と来年度予算編成方針についてお伺いします。
まず初めに、築地市場の豊洲移転延期問題についてです。
小池都知事は、8月31日、11月7日に予定されていた築地市場の豊洲移転を延期するという表明を正式に行いました。この表明は、事前相談もなく一方的なものであり、長年の信頼関係のもとで東京都と協議を行ってきた本区にとって、今後の信頼関係に大きな禍根を残す形となっております。
小池都知事は、市場移転の問題点として、安全性、事業費、情報公開の3点を掲げています。本区としても、当事者が疑問を持つ以上に、徹底した調査と情報開示を望むところでありますが、まずはお互いが真摯に協議する体制を整えることが必要と考えます。そこで、移転延期を表明してからの東京都の本区に対する対応、また市場の移転延期により生じる本区への影響はどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
さらに、問題となるのは、9月10日の小池都知事の記者会見で明らかになった盛り土一部未実施のニュースです。専門家会議の提言に基づき、東京都が土壌汚染対策として実施したとしていた4.5メートルの盛り土が、青果棟、水産卸売場棟など、主要5施設の地下でなされておらず、報道では環境アセスメントもやり直す必要があると言われています。これは、食の安全を根幹から覆すような重大な問題です。
記者会見後は、連日テレビ等の報道機関でこの問題が取り上げられ、今や世界が注目する豊洲市場問題になっています。東京都の土壌汚染対策を信じて豊洲市場開場に同意をしてきた本区にとっても、そのことすら再考せざるを得ないような極めて重大な局面であります。したがって、本区としては、東京都に徹底的な全容解明と誠意ある説明をするよう訴えるべきと考えますが、今後の東京都に対する本区の対応をどのように考えているのか、お伺いいたします。
次に、オリンピック・パラリンピック開催準備についてお伺いします。
平成28年度よりオリンピック・パラリンピック開催準備室を立ち上げ、ことし3月に発表した江東区オリンピック・パラリンピック開催準備プランの具体的な事業展開に本格的に取り組んでいると伺っていますが、まず初めに、現状の課題と、特に先行している事業にどのようなものがあるのか、また東京都と連携を図り、オリンピック・パラリンピック教育を全区立小中学校、幼稚園で実施することが決まっていますが、その進捗状況についてお伺いします。
また、私が最も主張したいことは、スポーツの振興はもとより、芸術文化振興のための文化プログラムの展開に最大限力を発揮すべきであるということであります。オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に、文化の祭典でもあります。オリンピック憲章はオリンピズムの根本原則に、スポーツと文化と教育の融合をうたっており、オリンピック組織委員会は、「複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならない」と規定しています。文化庁は、既にその目標を20万件のイベント、5万人のアーティスト、5,000万人の参加、訪日外国人旅行者数2,000万人に貢献することと決めています。
本区としても、開催地の中心都市として、日本の伝統文化など、多彩な芸術文化を世界に向けて発信すべきと考えますが、本区の文化プログラムへの取り組みについて、区内の芸術文化団体との連携や、江東区文化コミュニティ財団との協力体制など、今後の組織体制と事業展開についてどのように考えているのか、また具体的なプログラムを既に計画しているのか、お伺いします。
次に、来年度予算編成方針についてお伺いします。
2020年に向けた準備や、人口増と再開発に伴う新たな行政需要、また子育てから高齢者福祉まで、増大する福祉ニーズに対応するためにも、来年度から長期計画(後期)の最終年度である平成31年度まではおおむね全体の予算は増大せざるを得ない状況と認識しています。そこでまず、本区の財政規模と今後の行政需要の予測について、どのように認識しているのか、お伺いします。
また、来年度予算編成方針を見ると、ここ数年は未来の江東区づくりへの正念場と位置づけており、2020年東京オリンピック・パラリンピック、50万人都市など、区政史上類を見ない局面に当たり、これを千載一遇のチャンスと捉え、過去や前例にとらわれることのないチャレンジスピリットを持った施策の充実を訴えていますが、そのための必要な人材育成を含む組織のあり方、安定した財政運営のための自治体経営のあり方などをどのように考えているのか、お伺いいたします。
次に、大綱の2点目、高齢者が安心できる生活環境の整備についてお伺いします。
まず初めに、高齢者地域見守り支援事業についてです。
東京都の調査によりますと、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年には、都民の4人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢社会の到来が見込まれており、65歳以上のひとり暮らしの高齢者も89万世帯を超え、総世帯数に占める割合は13%を超えると言われています。また、何らかの認知症の症状のある高齢者は、同年には約60万人となり、高齢者人口の約18%を占めると言われています。
また、本区の場合、ひとり暮らしの高齢者世帯数は約2万8,000世帯弱で、認知症高齢者数は約2万人に及ぶとも言われています。そこで、介護保険法において、高齢者が地域で自立した生活を営むことを可能にするために、地域包括ケアシステムの構築が国及び地方公共団体のスキームとして規定され、そこには医療、介護、予防、住まいと並んで、見守り等の生活支援が高齢者を支える重要な取り組みとして位置づけられています。
見守りには大きく3つのパターンがあります。1つ目が、地域住民や民間事業者が日常生活の中で変化を感じ、専門の相談機関に相談するなどの緩やかな見守り。2つ目が、定期的な安否確認や声かけが必要な方に対して、民生・児童委員や住民ボランティアが定期的に行う担当による見守り。3つ目に、地域包括支援センターなど、専門機関の職員が行う専門的な見守りがあります。
本区の場合、声かけや電話訪問など安否確認型の事業が従来から行われていますが、加えて、新しい総合事業への移行に伴い、見守り事業の整理、再構築が急務と思われますが、現在の高齢者地域見守り支援事業の課題と今後の展開について、お伺いいたします。
また、専門的な見守りをするに当たり、地域包括支援センターの役割は極めて重要になると思われます。来年度から始まる地域包括支援センター20カ所体制の課題と機能強化に向けてどのような取り組みを考えているのか、お伺いいたします。
次に、認知症サポーターの養成についてお伺いします。
見守り事業の中でも、平成37年に向けて認知症の方と家族を支える地域づくりとして、認知症対策の推進が重要と言われています。その中で、認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域や職域で認知症の方や家族に対してできる範囲での手助けをする認知症サポーターを養成することが全国的に広がっています。既に全国では713万4,442人(平成27年12月31日現在)が養成講座を受講して、本区でも昨年度、3,497人が受講しています。また、養成講座の講師役になるキャラバン・メイトの養成も全国的に始まっています。
そこで、本区の認知症サポーターの養成状況と今後の取り組み、またキャラバン・メイトの養成についてどのように展開していくのか、お伺いします。
次に、認知症カフェについてお伺いします。
平成37年には、全国に約700万人の認知症患者が発生すると言われる中で、認知症サポーターの養成とともに、緩やかな見守り事業の一環として認知症カフェの効果が注目されています。厚生労働省は認知症カフェを、「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場」と定義づけていますが、認知症ではないかと不安を抱く方、初期の認知症の方や家族が気軽に立ち寄れ、地域の方たちにも支持される場の存在意義は大変大きいものとなっています。
本区でも、平成26年6月からことしの7月までに12件の認知症カフェが開設されていますが、本区の認知症カフェの現状とその効果をどのように認識され、また今後どのように展開していこうとしているのか。また、地域包括支援センター20カ所の体制整備の中で、認知症カフェも各センターのエリアに1カ所ずつ整備するなど、数値目標を持って運営支援のあり方や連携についても考えていくべきと思われますが、見解をお伺いします。
大綱3点目、こどもが安心できる生活支援策についてお伺いします。
まず初めに、児童相談所の移管に向けた本区の取り組みについてです。
深刻化する児童虐待の防止対策の強化を図るために、本年5月27日、参議院本会議で、特別区でも児童相談所の設置を認めた改正児童福祉法が成立しました。それを受け、特別区長会会長の西川太一郎荒川区長は、「準備が整った区から順次児童相談所の設置を目指す」とのコメントを発表し、特別区長会事務局も、開設には東京都の協力が不可欠なため、早急に協議を始めたいと述べています。
報道機関の調査では、既に19区が具体化に向けて準備を始めたということですが、23区のその現状をどのように把握し、本区として現在どのような方向性を持って取り組もうとしているのか、お伺いします。
また、児童相談所を含む児童福祉行政全般を各区が担うためには、膨大な財政負担と人材確保が必要とも言われていますが、今後、児童相談所を移管していくに当たって、その課題と今後の展開について、お伺いします。
あわせて、50万人都市・江東の虐待防止対策の一環として、子育て支援の拠点でもある本区の5つの子ども家庭支援センターにおいて、機能強化と施設の整備拡充を図ることも必要と考えますが、見解をお伺いします。
次に、こどもの貧困対策についてお伺いします。
厚生労働省は、所得の低い順に全ての国民を並べていき、真ん中の人の半分の所得(貧困線)に満たない人たちが全体に占める割合、いわゆる相対的貧困率が、平成24年に16.3%と過去最悪を更新し、こどもの6人に1人が貧困状態にあると発表しました。ひとり親世帯に限ると54.6%と、さらに深刻になると言われています。
こうした背景を受け、平成25年6月の国会で、議員立法により子どもの貧困対策の推進に関する法律が全会一致で可決、成立し、こどもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないように、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援の4分野で総合的な対策を講じることが政府に義務づけられました。
その後、平成26年8月には、政府において子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定され、都道府県等によるこどもの貧困対策についての計画策定が進められるようになり、23区内では既に足立区で子どもの貧困対策担当部を設置して、全庁的にこどもの貧困対策に取り組んでいます。
そこには基本理念として、「次代の担い手である子どもたちが『生き抜く力』を身につけることで、自分の人生を自ら切り開き、貧困の連鎖に陥ることなく社会で自立することを目指します」、「全ての子どもたちが生まれ育った環境に左右されることなく、自分の将来に希望を持てる地域社会の実現を目指します」と掲げられています。
そこで、本区のこどもの貧困対策として、具体的にどのような対策をとられているのか、現状の対策と今後の取り組みについて、見解をお伺いします。
次に、こども食堂の展開についてお伺いします。
経済的に厳しかったり、ひとり親で食事の支度がままならなかったりと、さまざまな事情を抱えたこどもたちに、栄養バランスのとれた食事を無料や低価格で提供する場所として、こども食堂の取り組みが全国的に広がっています。
宮城県石巻市では、NPO法人「TEDIC」が昨年11月、町内会などと連携した県内初の食堂をオープンさせ、震災で失われた地域のコミュニティづくりにも役立てたいと頑張っています。
また、滋賀県でも、昨年5月からボランティア団体や社会福祉法人が連携して、県内11カ所で開設しています。「寂しさやしんどさを抱える子どもの居場所づくり」を目標に、平成30年度末までに県内の小学校数と同じ約230カ所の食堂を開くことを目指しています。
また、首都圏では、少なくとも32カ所のこども食堂が設置され、目黒区や世田谷区などの区では既に活発に活動を展開しています。
本区でも本年2月、こどもたちを孤食や偏食、貧困から守るために、ボランティアの皆さんが中心になって、南砂にみなみすなこども食堂が開設され、月2回の開催を楽しみにしているこどもたちが、月日を経るごとにふえていると聞いています。
また、全国では、こども食堂を支援する補助要綱を制定する自治体も出てきております。そこで、本区はこうした現状をどのように把握され、本区としてどの組織が中心的に所管して、今後どのような支援体制や展開を考えていくのか、見解をお伺いします。
次に、大綱4点目、豊かな人間性を育む教育施策についてお伺いします。
まず初めに、生涯学習の取り組みについてです。
本区の生涯学習は、こどもから高齢者まで体系的に誰もがいつでも自由に学習して、その成果が適切に評価される社会を目指し、平成20年度まで区教育委員会の生涯学習課で行っていました。ところが、平成19年6月27日に公布された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律により、教育における地方分権の推進が示され、地域の実情や住民のニーズに応じて、地域づくりという観点から、他の地域振興等の関連行政とあわせて、スポーツ及び文化に関する事務を首長部局で一元的に所掌することが認められました。
そこで、本区は、平成21年度から社会教育に特化したものを区教育委員会に残し、その他スポーツ事業や青少年健全育成事業などは地域振興部に移管して、教育委員会と首長部局が連携し、生涯学習の推進体制を整備することを目指してきました。
しかし、組織改正から8年が経過して、果たして本区の生涯学習の支援体制によって、多様化、高度化した人々の学習意欲、学習需要を満足させるだけの適正な学習機会の提供がなされているかといえば、甚だ疑問に思われます。残念ながら、文部科学省の統計資料によると、本区は生涯学習に資する計画等を単独でも教育全般の中でも策定していないようであります。そこで、かつて平成21年度まで江東まなびプランとして定めていた計画は、現在どのように継続されているのか、本区の生涯学習の取り組みの現状と今後の展開について、見解をお伺いします。
また、生涯学習の環境づくりにおいて、分散した生涯学習の各分野との連携や、新たに福祉分野との結合を含めた取り組みも必要になると思われますが、見解をお伺いします。
次に、中学生の職場体験についてお伺いします。
東京都は、次世代を担う中学生に社会の一員としての自覚を促し、社会性や望ましい勤労観、職業観を育成することを目的として、中学生の職場体験事業を平成17年度から実施しています。
本区も、平成20年度から全区立中学校で実施し、実施期間としては3日間を中心に取り組んでいます。昨年の実績を見ますと、23校全体で約2,500人の中学生が、サービス業での接客や事務補助、スーパーなどでの製造販売、警察、消防などの行政機関、保育園、幼稚園、小学校などの教育機関など、さまざまな職場体験を行っています。
その中で私が注目したのは、高齢者施設と障害者施設です。たまたま私が葛飾区の生活介護と就労継続支援B型の障害者施設で数十日間実習を行っていたとき、職場体験に来られた中学生2人に出会いました。どうしてこの職場を選んだのかと聞くと、一生の間でなかなか経験できないところだからという返事が返ってきました。
2人の中学生は、生活介護と就労継続支援B型の仕事を5日間で交互に経験するわけですが、職場体験最後の日に感想を聞くと、障害を持って生活している人の気持ちが少し理解できましたと満足げに答えていました。たった5日間ですが、心が成長していく姿を目の当たりにして、職場体験の重要性を改めて感じました。
そこで、本区の中学生が、高齢者施設や障害者施設など、福祉関連施設の職場体験にどの程度参加しているのかを調べますと、全体で約2,500人に対して200人ほどが参加しているとのことでした。この数は決して多いほうではないと思います。そこで、2020年東京オリンピック・パラリンピックも控え、ユニバーサルデザインのまちづくりを目指している本区としても、もっと福祉関連施設との連携を深めるなど、職場体験事業の意義を重視した取り組みを図るべきと考えますが、区教育委員会はこの事業をどのように評価しているのでしょうか。また、アンケート調査などで細かく実態を分析するなど、どのようにして現状の課題を把握し、今後の展開を考えているのか。さらには、他区と比べてのぼりや腕章など、広報やアピールがとても少ないと思われますが、見解をお伺いします。
最後に、部活動等の振興策についてお伺いします。
東京都教育委員会は、平成19年3月に部活動振興基本計画を策定し、それを受ける形で本区も、平成20年3月に、「江東区小中学校の部活動の振興に向けて」をまとめ、外部指導員の拡充や拠点校の指定、設置を行い、部活動振興策を図ってきました。
しかし、昨今、改めて顧問のなり手の減少による休部、廃部の問題、高齢化や職務の増加による指導力の低下と指導時間の減少、専門種目以外の種目を指導することへの不安のほかに、オーバーワークによるストレスや健康被害の不安が広がっている現実を踏まえ、文部科学省は新しくガイドラインをつくる作業を進めています。どのような仕組みをつくれば教員が適正に仕事ができるのか、また、こどもたちにとっても望ましい部活動のあり方とはどのようなものか研究するために、来年度は、校長、顧問教員、生徒、保護者、外部指導者にサンプル調査を行って、実態に合ったガイドラインをつくろうとしています。
そこで、本区も既に今年度から部活動等の振興を図る検討会を立ち上げ、検討する内容、方向性について議論していると伺っていますが、現状の課題と評価、また今後のロードマップを含めた方向性と取り組みについて見解をお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。