2020.06.11
議会報告

令和2年6月11日 令和2年第2回定例会


インターネット中継はこちらから

◯29番(徳永雅博議員) 区議会民政クラブの徳永雅博です。質問の機会を得ましたので、大綱3点について質問をいたします。区長をはじめ、理事者各位の明快な答弁を求めます。
まず初めに、ゼロカーボンシティ実現への戦略についてです。
今月の13日、第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕しました。
合意のポイントとしては、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える努力を追求すること。「段階的な廃止」には至らなかったものの、排出削減対策の取られていない石炭火力の「段階的な削減」への努力が明記されたことは、重要な進展が見られたとも評価されています。
また、気候変動対策の国際的な枠組み、パリ協定の「2度未満、できれば1.5度に抑える」目標が、今回の会議で、事実上、世界の共通目標に引き上げられたことは大きな成果と言われています。
そこで、まず初めに、ゼロカーボンシティ宣言を表明している本区として、COP26の議論や「グラスゴー気候合意」をどのように評価しているか、お伺いします。
また、本区としての将来的な脱炭素社会の実現に向けた施策は、昨年3月に改定した江東区環境基本計画(後期)の中で記載されていますが、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指すには、新たな実行計画を策定する必要があると思われますが、本区の環境審議会の議論と併せて、今後のゼロカーボンシティへの取組方針について見解をお伺いします。
次に、グリーンインフラの整備についてお伺いします。
数あるゼロカーボン戦略の中で注目されている一つにグリーンインフラの整備があります。グリーンインフラとは、自然環境が有する機能を、社会における様々な課題解決に活用しようという考え方で、身近なところでは、屋上緑化や校庭の芝生化、あるいは東京都が東京2020大会を機に取り組んだ、暑さ対策のための街路樹の樹冠拡大方策もその一つと言えます。
その中でも私が最も注目しているのが、環境省が推進している、国立公園において先行して脱炭素化に取り組んでいるエリアをゼロカーボンパークとして、脱炭素化の持続可能なライフスタイルを目指している事業です。具体的には、電気自動車の活用、再生可能エネルギーの活用、地産地消の取組をはじめ、緑化計画を一層推進することで脱炭素化を実現していこうという取組です。
また、ゼロカーボンパークの登録のための前提条件には、まず、該当自治体がゼロカーボンシティを表明していることがうたわれています。
そこで、夢の島から若洲、海の森を含む中央防波堤のグリーンベルト構想をはじめ、既存の辰巳、木場、猿江、亀戸など、数多くの都立公園がネットワークでつながろうとしている中で、CIG戦略を最重要課題として掲げる本区としては、本区独自のグリーンインフラ整備構想を立ち上げ、その中でゼロカーボンパーク構想を取り入れた新たなグリーンインフラ整備計画を立ち上げるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、生物多様性の保全についてです。
グリーンインフラによる都市緑化やカーボンマイナスゼロ戦略は、地球温暖化の解決の一助になると同時に、都市において自然環境を増やすことは、人々に癒やしをもたらし、住みよいまちづくりに貢献していると言われています。そこで、緑の環境整備とともに、そこに生育する生物の生態系を維持することも重要な視点になります。
識者によれば、地球温暖化が進めば、生物の生態系が変化し、感染症を媒介する生物が増えるとも言われています。そこで、本区の環境基本計画の中では、生態系を保全し、そこからもたらされる恵みを次世代に受け継ぐための取組を、総合的かつ計画的に推進するために、生物多様性基本法に策定努力がうたわれている生物多様性地域戦略の策定について検討すると掲げられていますが、現在の進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。
次に、大綱2点目、ポストコロナの観光戦略についてお伺いいたします。
まず初めに、コロナ禍における観光関連事業の状況についてお伺いします。
今年の6月に出された観光白書によると、2020年の訪日外国人旅行者は412万人、前年比87.1%減、日本人の国内宿泊旅行延べ人数は1億6,070万人、前年比48.4%減、日帰り旅行延べ人数は1億3,271万人、前年比51.8%減と軒並み減少しています。2020年の客室稼働率を見ても34.6%と、前年の62.7%からさらに落ち込んでいます。
また、コロナ後の産業別の景況感の推移を見ると、「宿泊・飲食サービス」の落ち込みが顕著で、宿泊業では、正規雇用者数が約8%減少したのに対し、非正規雇用者数は約15%減少していると報告しています。こうした全国的な観光業界のダメージによって、本区の観光関連事業者にどのような影響が表れているのか、また、その対策について見解をお伺いします。
一方で、観光のトレンドの変化として、有名観光地への物見遊山ではなく、近隣地域に宿泊観光や日帰りで、文化や暮らしを体験しながらじっくり楽しむ観光や、地域の暮らしの中の素朴な資源をコンテンツとして活用している観光戦略が見られているとも言われています。こうした動きはマイクロツーリズムとも言われ、東京近郊の伝統と歴史があふれる観光資源を多く持つ自治体の観光戦略としては、大いに参考になるトレンドと言えます。
そこで、次に、観光と福祉の関係についてお伺いします。
観光の本義として、一言で言えば、非日常性を求める行為とも言われています。観光目的となる風物や名所などの観光資源は、それが所在する地元の人には日常的なものでありますから、改めて出向くことは少ないのですが、地元以外の人にとっては非日常的なものであるから、観光に出向くという論理です。
一方で、観光福祉という概念があります。従来の観光政策と社会福祉が融合し、観光客が余暇の活用による楽しさや安らぎ、癒やしによって英気を養い、一方、観光地の住民は、観光客と触れ合うことによって生活文化の創造と地域活性化、さらには地域コミュニティの再生を図ることに目的があると言われています。
そこで、観光地の住民にとっても、日常が非日常に変わり、生活に張り合いが出てきます。具体的には、自然や景観、歴史、文化産物など、行政と住民との協働によって観光資源化し、健康増進や社会参加、世代交流、生きがいの促進、地域振興を図っていく上で、観光政策と社会福祉を密接に結びつけていくという概念です。エコツーリズムやグリーンツーリズムもその一環と言えるかもしれません。
そこで、本区のポストコロナの観光戦略として、観光推進プランや観光協会の事業の中に、観光政策と地域福祉との協働的な考え方を取り入れた地域活性化の考え方も取り入れるべきと考えますが、見解をお伺いします。
最後に、観光推進プランと観光協会の役割についてお伺いします。
観光推進プランの中には、明確に観光協会の役割として、1つは観光推進プランの実現に向けた事業、ソフト事業の展開と、もう一つが、地域活動団体の活動を支援すると書かれています。
さらに、自立した運営体制及び財政基盤の構築のところでは、事業の推進を図るため、様々な事業主体が集結し、協働できる観光地域づくりプラットフォームを構築し、優先度の高い個々の事業を推進するため、自立的なコンソーシアムについても検討しますとあります。その意味で、江東区観光協会の事業は、本区のポストコロナ観光戦略にとって極めて重要な組織であると思っています。
ところが、実態としては、例えば観光協会亀戸支部の事務所は、開設日時は週3回で午前10時から午後4時と、限定的な開設になっています。それでは今後観光協会が観光振興、地域振興の戦略の要になっているとは到底言い難く、まだまだ改善の余地があります。
そこで、次なる観光推進プラン策定の中で、観光福祉の概念を取り入れながら、観光協会の役割の明確化と一層の組織強化を図り、本区のポストコロナの観光振興をさらに発展させるべきと考えますが、観光推進プラン策定のスケジュールを含めた今後の観光戦略の取組について、見解をお伺いいたします。
次に、教育推進プランの諸課題についてお伺いします。
まず初めに、35人学級実現の取組についてです。
40年ぶりに学級編成が改められ、2021年度から5年間かけて、公立の小学校の全学年が35人学級に編成されることになりました。
35人学級の編成のメリットとして、こどもに今よりも丁寧に関われる。増えた教員の配置を工夫すれば、教員にゆとりが生まれ、教員も学ぶ時間が取れる。多様な人材に学校に入ってもらい、新しい学びに取り組めるチャンスが生まれるなど、前向きな意見が多い中で、一方で、全国の自治体で教員確保に苦心している状況下で、人材確保が果たしてできるのか、人の取り合いにならないか、また、教室不足が起こらないか、心配する声も聞かれています。
いずれにしても、小学校35人学級は、国の補助金増額と教員の正規採用という政策メリットを、どのように新たな学びの戦略につなげられるかが大きなポイントと言われています。
そこで、区教委として、35人学級への取組の課題と今後の展開について、どのような戦略を考えているか、収容対策やICT対策など、学校施設の整備も含めた見解をお伺いします。
次に、教科担任制についてお伺いします。
2019年12月13日に行われた中央教育審議会において、教科担任制の導入に向けた方針がまとめられ、2022年度より小学校高学年の教科担任制の導入が決まっています。
教科担任制を導入するメリットとしては、1、児童の学力向上、2、複数の教員が多面的に児童を見ることによってきめ細やかな指導の実現、3、中1ギャップの緩和、4、教材研究の時間ができるなど、教員の働き方改革などにつながるなど、4つの目的が掲げられています。
文科省が目指しているのは、小学校5・6年生の理科、算数、外国語(英語)、体育の4教科で、専門性を持った教員による教育の質の向上を目指しています。既に全国では、来年度の導入を控え、令和3年度から前倒しで導入している学校も聞いていますが、まず、本区の教科担任制の導入の実績についてお伺いします。
特に有明西学園では本格実施を行っていると思われますが、その評価と併せて、来年度からの本区の教科担任制への取組の課題と戦略についてお伺いいたします。
最後に、部活動の在り方についてお伺いします。
コロナ禍における中学校の部活動は、大変な制約の下に、部活動顧問や部活動専門員及び外部指導員の尽力で、こどもたちの部活動の生活環境をお守りいただいたことに敬意を表したいと思います。各学校でそれぞれ工夫され、こどもたちの希望が少しでもかなえられ、特に公式戦でのこどもたちの力が十分発揮できる状況をつくっていただくことは、大変だったと思われます。
今後の懸念材料としては、コロナ禍が収まったときに、現在の中学生の部活動の指導体制や感染症対策、部活動の時間の在り方など、今後どのような変化があると考えられるかということです。
そこで、まず初めに、本区では既にスポーツ庁の運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを基に、中学校では現在、部活動指導員約10名を配置し、また、技術指導のみを行う外部指導員約120名を配置して、部活動の指導体制を整備していますが、現状の評価と課題についてお伺いします。
さて、文部科学省は、学校における働き方改革推進本部の中で、令和5年度以降、休日の部活動を段階的に地域に移行を進めていく方向性を示したことを受けて、部活動の在り方がまた大きく変化する可能性を示唆しています。
スポーツ庁では、学校の運動部活動の地域移行を促進するため、有識者会議が始まり、地域移行のほかにも、既存の部活動の体制の見直しや、部活動の内容や活動時間の改善、指導を望まない教員が顧問を務める必要がない体制を整えるなど、部活動のありようが大きく変わる可能性が出始めています。
しかし、本区としては、全て文科省やスポーツ庁の方針にのっとり、部活動の在り方を見直すのではなく、スポーツと人情が熱い江東区の独自の指導体制があってもしかるべきと考えます。そこで、区教委として、今後の部活動の地域移行に対する考え方や、部活動の在り方に関する戦略についてどのように考えているか、見解をお伺いして質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
(山崎孝明区長登壇)