参議院選挙を終えて
7月21日の参議院選挙は、マスコミの当初の予想通り、自公与党の過半数確保が完全なものになった。参議院の3分の2の憲法改正発議の数まではさすがに及ばなかったが、野党の憲法改正派、日本維新の会やみんなの党を含めると、3分の2は目前である。
一方民主党の惨敗ぶりは、昨年の12月の総選挙以来、都議選、参議院選挙と一向に有権者の支持を得ることができなかった。
なぜ民主党は支持を得られなかったのか。私なりに分析してみると、有権者に対する民主党の次の日本を担うための政策メッセージが全然伝わらなかったことだろうと思う。
働く世代、子育て世代、高齢者の生きがい世代の施策として、待機児童の解消や居場所出番づくりと言っても、景気浮揚の経済政策が具体的に見えない限り、個別の政策の良しあしより、経済安定、生活安定の基盤作りの方に気が向いてしまう。
その点、与党のアベノミックスによるデフレ脱却、ねじれ解消による安定政権の確立は、中身の議論よりも一般有権者はわかりやすかったのだろうと思われる。
そのわかりやすさに、民主党は最後まで対抗できなかった。
その陰には与党時代に合意した、「社会保障と税の一体改革」の3党合意が、民主党の独自の政策立案の足かせになっているように思われる。
何を言っても、国民の暮らしを守るために消費税を上げることに合意した3党合意は、野党になった民主党にとって、医療・介護・保険の抜本改革を一緒になってやろうと約束した以上、その方向性を無j視した政策は提案できない。
そこが自民党と霞ヶ関の戦略のうまさである。今回はまんまとその策略にはまってしまった。
したがって民主党の新鮮な政策アプローチができなかった。2009年の政権交代は、「政権交代」という今回の「アベノミックス」的わかりやすいキャッチフレーズがあった。
今後3年間は自公安定政権が続くであろう。安倍政権にとって黄金時代が来たともいえる。
そこで重要なのことは、3党合意した約束を民主党がどこまで実現させられるか。党首討論でいとも簡単に裏切られた安倍政権に、その実行をいかに行わすか。政権運営の未熟さが、野党になっても尾を引いている状況を打破するためには、相手が約束を守らない以上、3党合意を白紙に戻して、野党の結束をもう一度図る以外にないのではないかと思われる。
返す返すもなぜ任期満了まで民主党政権を維持できなかったか、本当に悔やまれる。
その反省は十二分に今後の展開に生かさなくてはならない。
そうしなければ、明日の民主党はないであろう。
選挙後のマスコミ報道を見ると、早くも集団的自衛権の行使の見直しを含めた、軍事大国化の動きや、そのための憲法改正の動きが見られる。
民主党がやるべき仕事はまfだまだあるはず。その存在意義も十二分にあるはずである。
今回の参議院選挙の結果を大きくばねにして、みんなで長期的な日本の国の在り方を、国民に分かりやすく提示すべき時ともいえる。
恥じることなく、臆することなく前進をして次を頑張ろう。