国内都市行政視察
昨日江東区議会の都市行政視察から帰ってきました。
江東区の場合、一期4年間で、1回だけ超党派で行政視察に行く機会が与えられています。
総勢44名いるので、3年間に分けて1年度に2団体ごと出かけます。
今回は、私を含めて7名の議員と行政側が3名と合計10名で視察してきました。
視察場所は、秋田県の秋田市と岩手県の葛巻町です。
目的は、秋田市における子育て支援事業と葛巻町におけるクリーンエネルギー事業です。
秋田市では、まず秋田駅の隣にある複合ビル(アルヴェ)の5階にある、子供未来センターを視察し、その後秋田市役所の中で、担当課長から在宅子育てサポート事業について説明を受け、クーポン券を発行して、在宅での子育をしている家庭への支援策が、評価されているとの説明を聞きました。詳細は省きますが、在宅子育てサポートは、全国的に取り組まれていますが、秋田市のクーポンを発行して、積極的に応援している体制は、非常に参考になりました。
また、一番印象に残ったことは、子供未来センターでの施設長の話で、センターを直営にした理由を聞いた時に、行政として責任ある体制をとるためには、核になる施設は何としても直営で行いたいという強い意志を述べられたことです。
ここ数年、国会でも地方自治体でも、効率化などの民営化手法の良い点だけが指摘されますが、崩してはならないもの、行政として守るべきものは何かを、ここでもう一度しっかりと議論しないと、どこかで公の公たる重要な点が失われて行くのではないかと懸念しています。
余談ですが、次の朝、出発まで少し時間がありましたので、日本海までタクシーで出かけました。料金は2200円ほどでしたが、そこには以前の秋田空港の敷地や、風力発電の施設があり、また運転手から秋田の町のことも聞くことができ有意義でした。
ただ、見るからにその海岸沿いは、帰りのタクシーがひろえないと思い、乗せてきてもらった運転手の方に、15分後に迎えに来てもらいたいと述べると、それならお付き合いしますよと、またタクシーを降りてからも、いろいろ話が聞けました。
その後、それでは秋田市役所までお願いしますとまたタクシーに乗ると、今度はついでだから、秋田の町を少し見ましょうと遠回りをして、新しくできた武道館や工業団地など見せていただきました。
ところが、運転手はメーターをたおしません。料金のことが気になったので、大丈夫ですかと尋ねますと、運転手の方は、せっかく来ていただいたんだから、乗っていただくだけでありがたいですよと、とうとう市役所までメーターをたおさないで送っていただきました。
私は、その気持ちの優しさに、秋田の方々の人間性を垣間見ることができ、とても感動して次の視察地、葛巻町へと向かいました。
葛巻町では、まず始めに、全国的に有名になりました、くずまき高原牧場に行きました。
当初天気予報は雨だったのですが、幸いにも晴れ渡り、一面緑の山と放牧地は圧巻でした。
まずは、昼食でご当地の食材を使ったジンギスカンを堪能し、食後に高原牛乳を飲んだ時は、最高の気分になっていました。
その後、葛巻町議会の議長と農林環境エネルギー課環境エネルギー室深沢口室長から、なぜ
葛巻町がミルクとワインとクリーンエネルギーの町になったかの説明を聞き、その後、木質バイオマスによるガス化実証施設や畜ふんバイオマスシステム、また風力発電施設やワイン工場まで、すべての施設を案内していただきました。
案内されながら感じたことは、現在の葛巻町になるまでに、町民の町に対する愛情と相当な努力がなされたことが、ふつふつと伝わってきました。
現在3つある第三セクター、(社)葛巻町畜産開発公社や葛巻高原食品加工(株)などのすべてが黒字であることを聞いたたときには、正直言って驚きました。
その背景を知りたくて、現地で「株式会社岩手県葛巻町の挑戦」という本を見つけたので、帰りの新幹線の中で読みました。
やはり、ここまで来るのに歴代の町長はじめ、多くの鉄人的な人々がおられ、寝食を惜しんで町の発展のために活躍された方々のドラマがありました。
なfるほどそうなのかと感心しました。全国的に成功した町の共通して言えるポイントは、やはり人です。当たりまと言えば当たり前ですが、しかし自分のことよりもまず、町のことが大事と本当に思える人が何人いるかで、一気に町は変わることの証明が葛巻町でもされました。
次の日、帰る日の午前中、廃校を利用した「森と風の学校」を尋ねました。
幸い理事長の吉成信夫さんにもお会いでき、今の児童の置かれている現状を聞くこともできました。今の子供たちがいかに見守られていないか、現実に子供たちと体験学習を通じて接しておられる人であるがゆえに、また県立の児童館など魂のない施設から、役人を敵に回してまでも戦って、魂のある施設づくりをしている人であるがゆえに、説得力のある話を多く聞くことができました。
今回の視察もまた大いに有意義なものとなりました。
現地でお世話になったみなさんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。